小田桐商事株式会社さま
小田桐商事株式会社さま
青森県に拠点を構え、ホタテの出荷・加工を行う小田桐商事さまは、東北日立の支援のもとマイナス60度での連続自動凍結が可能なイータマックス冷凍システムを始めとするさまざまな工場設備を導入しています。従来の凍結機で課題であった人手を伴う作業を自動化し、処理能力も1時間あたり1トンに倍増。東北日立のトータルサポートにより設備導入時の工場設計から省エネ運用までを整備することで、同社は高い品質のホタテを取引先に提供しています。
従来の凍結機は人の手作業による出し入れが必要
従来の処理能力(500kg/時)では増加する需要に対応しにくい
従来の冷凍方式では製品投入時に温度が上昇し、品質維持が困難
工場での夏場の電力使用量が多く、光熱費が増大していた
イータマックスの連続自動凍結により10人の作業が4人で行えるように
イータマックスシステムにより処理能力を1トン/時に倍増
マイナス60度での安定した温度管理により、高品質なホタテを安定供給
電力監視システムを導入して無駄な電力消費を制御し、光熱費を削減
青森のホタテ産業を支える技術力と品質へのこだわり
2012年に青森市で創業し、ホタテを中心とした水産物の加工・冷凍・冷蔵および販売を手がける小田桐商事。主力工場となる工場を青森市の沖館に構え、青森県漁業協同組合連合会をはじめとする地域の有力団体から原料を仕入れ、全国の中央卸売市場や大手水産会社への販売を展開しています。
「この会社は設立から11年ですが、私自身は水産業界で45年以上の経験があります」と語るのは、代表取締役の岩谷孝氏です。「以前は同業の会社で副社長を務めていましたが、退職後も私とともに事業を行いたいという仲間の後押しもあり、新たに小田桐商事を創業しました。商品の95パーセントをホタテが占める専門企業として、常に品質と技術の向上を追求しています」と岩谷氏は語ります。
品質の高いホタテ商品を提供するためには鮮度を維持したまま凍結することが重要です。しかし、小田桐商事が採用していた従来の冷凍技術では、マイナス40度が限界であり、しかも品物を入れることで温度が上がりマイナス38度~35度まで上昇してしまいます。その結果、解凍時にドリップ(水分)が出てしまいホタテ本来の旨味が損なわれる課題がありました。
ホタテの冷凍の課題を解決するために、当初同社が注目したのが「プロトン凍結」でした。これは単に低温を実現するのではなく、電磁波を利用して急速凍結を行うことで、ホタテの細胞を壊すことなく凍結できる画期的な技術です。「当時、同様の技術としてCAS(Cell Alive System)凍結も検討しましたが、プロトン凍結の方が我々の要求に応えてくれました。価格面での優位性もありましたが、それ以上に重要だったのは、ホタテの品質を最大限に保持できる点でした」と岩谷氏は導入の経緯を説明します。
その後同社はプロトン凍結機を導入して生産を行っていましたが、そこでは新たな課題が浮上してきました。プロトン凍結機はバッチ式の処理方式を採用していたため、作業員が手作業でトレーに並べて凍結させ、その後取り出すという工程が発生しており、これを改善したいと考えました。
「需要の増加に対応するためには、より効率的な生産体制を構築する必要があります。そこで新たに注目したのが、マイナス60度での連続自動凍結が可能なイータマックス冷凍システムでした」と岩谷氏は語ります。
実際に北見の工場で凍結を検証し、問題がないことを確認
プロトン凍結機およびその後のイータマックス冷凍システムの導入まで、これまで小田桐商事をサポートしてきたのが、岩谷氏が長年付き合いのあった東北日立でした。「東北日立とは前職の時代から20年来の付き合いであり信頼関係があります。何か新しいことを始める時は、必ず相談する相手です」と岩谷氏は語ります。
「連続式の冷凍システムについて東北日立に相談したところ、北海道の北見にある販売代理店の工場で実証実験ができると提案を受けました。実際に当社のホタテを持って北見まで足を運び、マイナス60度という急激な温度変化でも品質に問題がないことを確認しました」と岩谷氏は検証過程を説明します。
特に懸念されたのは、急激な温度変化による身割れの問題でした。「ホタテの貝柱は繊維が縦に入っているため、急激な冷凍で割れてしまうリスクがありました。しかし、実験の結果、問題なく凍結できることが分かり、導入を決定しました」と岩谷氏は語ります。
ホタテの鮮度維持を優れた業務効率で実現
マイナス60度まで対応可能な急速凍結のプロトン凍結機を採用するほか、同機器で課題となっていた人手を伴う作業の手間を解消するため、全自動で商品投入と凍結を行うイータマックス冷凍システムを採用。高品質のホタテ加工と業務効率化の双方を実現することができました。
高い鮮度を保った同社のホタテは取引先から高い評価を得ており、現在では、ある大手回転寿司チェーンにも採用されるなど品質の高さが認められています。
さらに、別途取り入れた省エネの仕組みも効果が得られています。電力監視システムの導入により、使用電力を抑制しながら最大限の生産性を実現。夏場の電気代を大幅に低減するとともに、監視システムの画面から事務所でリアルタイムに電力消費を確認できるため、効率的な省エネ運用が可能になっています。
工場立ち上げから将来を見据えた設計を東北日立が支援
凍結機の工場への導入にあたって、東北日立が全面的にサポートしました。もともと小田桐商事は工場の立ち上げ時点から東北日立に相談しており、設計段階から東北日立が関与しています。小田桐商事が新たに建設した工場は2800坪の敷地を有効活用し、将来の設備拡張も見据えたレイアウトを実現しています。「工場の設計やレイアウトについて将来を見据えながら相談したので、今回の大型な凍結機を入れる準備も計画の段階から組み込んでいました」と岩谷氏は説明します。
水産加工場特有の課題である排水処理や臭気対策についても、最新の膜処理技術を採用。「工場が住宅地に近いため、臭いの問題には特に気を使いました。膜処理による高度な排水処理システムを導入し、周辺環境への配慮を徹底しています」と岩谷氏は語ります。
さらに東北日立は、省エネルギーの観点から、電力監視システムや高効率な変圧器の導入など、きめ細かな提案を実施。岩谷氏は「日立は省エネの専門家として、トータルでエネルギー効率を考えた提案をしてくれました」とサポート体制を評価します。
小田桐商事株式会社
代表取締役
岩谷 孝氏
現在、小田桐商事は国内市場に加え、アメリカやヨーロッパへの輸出にも力を入れています。岩谷氏は「輸出の割合を増やしていきたいと思っています。日本の水産物に対する海外の需要は依然として強く、その中でも当社は県内でもいち早く取り入れた急速凍結機によって、高品質な商品を提供できる体制が整っています」と意欲を見せます。
工場の改善にあたっては、今後も東北日立との連携をさらに深めていく考えです。現在、契約している社外の冷蔵庫のコストが課題となっているため、自社での冷蔵施設を設置することでコスト削減を図ろうと検討しています。その際も東北日立に相談する意向を示しています。
「東北日立はもはやファミリーのような関係です。困ったことがあればすぐに相談でき、すべての要望に応えてくれるため、相談先は日立以外に考えられません。本当に立ち上げの時から熟知していて、もしかしたら私たちよりも工場のことが詳しいと言っても過言ではないかもしれません。この信頼関係は今後も変わることはないと思います」
日本ファシリティ・ソリューションさま(以下、JFS)は、東京電力エナジーパートナー100%出資の企業として、効果保証付きの省エネルギーサービス「ESCOサービス」をはじめとする多彩なエネルギーサービスを法人組織に向けて提供している会社です。
「パスポートのいらない英国」のキャッチフレーズのもと、福島県岩瀬郡天栄村に展開されている中世英国様式の英語研修施設兼リゾートホテルを運営しているブリティッシュヒルズさま。
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